やり投のピッチに立つ北口榛花から漂うのは、絶対王者としての風格と、観客を一瞬で味方につける天真爛漫な笑顔だ。チェコに単身乗り込み、現地の名指導者とともに築き上げた技術体系は、日本投てき界の歴史を塗り替えた。世界陸上競技選手権大会をはじめとするビッグトーナメントで見せる、最終6投目の大逆転劇。それは偶然の産物ではない。
助走スピードを殺さずにエネルギーをやりへと伝えるブロック動作の完成度は、世界の専門家を唸らせる。だが、それ以上に彼女の強さを支えているのは、プレッシャーすらも楽しむメンタルのしなやかさだ。試技の合間に見せるリラックスした笑顔から、投擲の瞬間に見せる猛獣のような集中力への切り替え。オンとオフを極限までコントロールする術こそ、彼女が世界No.1であり続ける所以である。