小学館の『週刊少年サンデー』黄金期を牽引した高橋留美子による原作漫画において、シャンプーは極めて計算され尽くした舞台装置として登場した。単なるラブコメディのライバル枠ではなく、主人公・早乙女乱馬を取り巻くパワーバランスを根底から引っかき回すトリックスターとしての役割である。
原作の少年漫画におけるシャンプーは、冷酷な暗殺者としての初登場から、乱馬に惚れ込んで以降の一途なアプローチに至る落差が非常にシャープに描かれていた。武術の腕前は作中トップクラスであり、目的のためなら手段を選ばないシビアさも原作の大きな魅力だ。
一方、アニメ版では視覚的な可愛らしさやコメディリリーフとしての側面が強調され、チャイナドレスの華麗なアクションや「猫飯店」での出前シーンなど、日常的な愛嬌がより際立つ構成が取られている。新旧のアニメーション表現を比較すると、原作が持つドライなユーモアと、アニメならではの躍動感が相互に影響を与え合い、キャラクターの奥行きを深めてきた歴史がよくわかる。