公認記録が存在しないにもかかわらず、なぜ「世界一目が小さい人 画像」という検索行動が途絶えないのでしょうか。画像検索でヒットする代表的な写真をデジタルフォレンジックの手法で検証した結果、拡散のパターンは明確に3つの類型へと集約されました。
第1の類型は、2000年代中盤の掲示板文化に端を発する「画像編集ソフトによる露骨なレタッチ加工」です。一般的な人物の顔写真をPhotoshopなどのツールを用い、目元の幅を極限まで縮小して一本の線のように引き伸ばしたコラージュ画像が、まとめサイト等で「実在する驚異の人物」として転載され続けてきました。
第2の類型は、実在する人物のニュース写真が文脈を完全にねじ曲げられて悪用されたケースです。象徴的な実例として、ニュージーランド出身の台湾系男性リチャード・リー氏がパスポート更新のオンライン申請を行った際、自動顔認証システムから「目が閉じられています」と誤認識されてエラーになった出来事(2016年発生)が挙げられます。テクノロジー側のアルゴリズム欠陥や人種的バイアスが世界中で報道された真面目なニュースであったにもかかわらず、画像の一部が切り取られ、「世界一目が細い男のギネス記録」という虚偽のキャプションを付与されてSNSを巡回する事態に発展しました。
第3の類型は、昨今の生成AI技術による「フォトリアリスティックな架空人物」の生成です。AI生成ツールを用いれば、皮膚の毛穴や光の反射まで本物と見分けがつかない「極端に目の細い人物ポートレート」が数秒で作成できます。これらがセンセーショナルな見出しとともにショート動画やSNSへ投稿され、閲覧数を稼ぐためのツールとして消費されています。