罰ゲームとして缶から直接ニシンを口に放り込み、悶絶する光景がメディアで擦り切れるほど流布していますが、これは本国スウェーデンの人々からすれば「刺身用の生ワサビを丸かじりして不味いと叫んでいる」ような冒涜的な行為に他なりません。
現地ノールランド地方では、夏の終わりに親族や友人が集まり「シュールストレミングスシーヴァ(Surströmmingsskiva)」と呼ばれる屋外パーティーを開きます。そこでの伝統的な食べ方は、洗練された調和の取れた料理です。
【伝統的な食べ方「クレンマ(Klämma)」の作り方】
・主役を支える台座:トゥンブロード(Tunnbröd)と呼ばれるスウェーデンの薄焼きフラットブレッド(トルティーヤや薄切りライ麦パンで代用可)に、有塩バターをたっぷりと塗ります。
・素材のトッピング:皮と骨を取り除いて小さく刻んだシュールストレミングの身、茹でてスライスしたジャガイモ(現地では粘り気のあるマンデルポテト)、みじん切りにした赤玉ねぎ、チャイブを乗せます。
・酸味とまろやかさの融合:仕上げにスメタナ(または濃厚なサワークリーム)をひとすくい乗せ、くるりと巻いて頬張ります。
実際にこのスタイルで口に運ぶと、強烈だった悪臭のトゲは玉ねぎの辛味とサワークリームの乳脂肪分によって綺麗にマスクされます。口いっぱいに広がるのは、「超濃厚なアンチョビ」や「極上の熟成塩辛」を彷彿とさせる圧倒的なアミノ酸の旨味です。強烈な塩気と芳醇な発酵香がジャガイモの甘みを引き立て、アクアビット(北欧のハーブ蒸留酒)やキレのあるピルスナービールとの相性は抜群と言えます。