海外の世界遺産人気ランキングに目を向けると、2026年はまさに歴史的なメモリアルイヤーとなっています。世界中から視線が注がれているのが、スペイン・バルセロナに聳えるサグラダ・ファミリアです。建築家アントニ・ガウディの没後100年にあたる2026年、最高峰となる高さ172.5メートルの「イエスの塔」がついに完成を迎えるスケジュールとなっており、現地は世界中からの巡礼者や建築ファンで熱気にあふれています。1882年の着工から140余年、長きにわたり「未完の傑作」と呼ばれた聖堂がクライマックスを迎える瞬間に立ち会える体験は、今しか味わえない特別な価値を持っています。
一方で、定番中の定番であるマチュピチュ観光には大きな変化が生じています。ペルー文化省は遺跡保全と観光客分散のため、入場ルート(サーキット)と1日の入場者数上限を極めて厳格に運用しています。事前に指定された時間枠と決められた順路でしか見学できず、遺跡内での立ち止まりや逆走は固く禁じられています。自由気ままな散策は難しくなったものの、「以前のような大混雑が緩和され、遺跡の静けさが戻ってきた」と好意的に受け止める声も多く、旅行スタイルの変化を象徴する事例といえます。
また、フランスを代表するモン・サン・ミッシェルの見どころも進化を遂げました。湾の生態系を守るために対岸の駐車場からシャトルバスや徒歩で橋を渡るアクセスが定着し、潮の満ち引きによって完全に海に浮かぶ姿を眺めるツアーが人気を集めています。日中の混雑を避けて島内や対岸に宿泊し、夜明けや黄昏時の幻想的な情景を静かに堪能する滞在型観光が主流になりつつあります。
世界遺産を数多く抱える世界遺産国別登録数ランキングでは、イタリアが60件前後でトップを維持し、それに中国、ドイツ、フランス、スペインが追随する構図が続いています。これら歴史大国は今、単に登録数を誇るのではなく、歴史的景観の修復と持続可能な観光の両立という新たな課題に直面しています。