ランキングの絶対王者として君臨し続けるイタリアの世界遺産だが、その華やかな栄光の裏で深刻な課題にも直面している。ヴェネツィアやポンペイ、アマルフィ海岸など、象徴的なスポットには世界中から観光客が殺到。住民の生活環境悪化や遺産の損耗といったオーバーツーリズムの歪みが限界に達しつつある。
これに対し、イタリア当局は入場料の徴収や事前予約制の全面導入、訪問者の分散化といった前例のない規制に踏み切った。単なる「数を誇る観光」から「質を重んじる保全」への大転換だ。地方に点在する知られざる文化景観や小規模な中世都市へと旅人を誘導する試みは、持続可能な観光モデルの試金石として世界中から注視されている。