軍用航空の世界で広く使われる「エースパイロット」という称号だが、その基準について国際的な法的条約が存在するわけではない。一般的に確立されたエースパイロットの定義は、「交戦中に敵航空機を5機以上撃墜したパイロット」を指す。この基準の原点は、航空機が兵器として実戦投入された第1次世界大戦の初期にさかのぼる。
1915年、単座戦闘機に機関銃同調装置を搭載して空中戦を優位に進めたフランスのパイロット、アドルフ・ペグーらが活躍した際、フランスの新聞メディアが5機撃墜を達成したパイロットを「l'as(エース、トランプのエース札の意)」と称賛したことが発祥とされる。この呼称がやがて連合国や同盟国の間で定着し、空中戦における名誉のバロメーターとなっていった。
ただし、国や軍種によって撃墜のカウント基準は大きく異なっていた。共同撃墜を細分化して0.5機や0.33機として加算する国(イギリスやアメリカ)もあれば、確実な撃墜のみを1機と厳密に査定する国(ドイツ)、さらには個人のスタンドプレーを戒めて撃墜数を部隊全体の戦果として処理するようになった大戦後期の日本軍など、その思想の違いが後世のスコア比較を複雑にしている要因でもある。