メルカトル図法の歪みを克服するため、歴史上さまざまな投影法が考案されてきました。用途に応じて使い分けられる代表的な図法を比較します。
1. モルワイデ図法との違い(正積図法の代表格)
1805年にドイツのカール・モルワイデが考案した「モルワイデ図法」は、地図上のすべての地点で「面積の比率が正しい(正積図法)」という決定的な特徴を持ちます。
地球全体の面積分布や人口密度、森林面積などの統計データを正確に視覚化する教科書用の世界地図として広く採用されています。ただし、外周部(特に高緯度の東西両端)にいくほど陸地の形状が斜めに引き伸ばされ、直角や方位が大きく崩れるというデメリットがあります。
2. オーサグラフ世界地図(面積と形状を両立した日本発の革新)
従来の地図が抱えていた「面積の正しさ」と「形状の歪み」のトレードオフを劇的に解消したのが、建築家・鳴川肇氏らが開発した「オーサグラフ(AuthaGraph)世界地図」です。
球体である地球を96区画の正四面体(三角錐の組み合わせ)に分割して平面へと展開する画期的な幾何学手法により、陸地や海洋の面積比率をほぼ正確に保ちながら、大陸の形の歪みを極限まで軽減することに成功しました。2016年には日本最高峰のデザイン賞である「グッドデザイン大賞」を受賞し、日本の高校地理の教科書や公式資料にも採用が進んでいます。
オーサグラフは中心点をどこにでも設定できるため、従来の「ヨーロッパ中心」あるいは「太平洋中心」という固定された世界観を解体し、南極大陸や北極海を含めた地球全体の連続性を正確に把握できます。