「胸焼け=胃酸が多いから起こる」。これは半分正解で、半分は誤解だ。富士薬品が公開する医師監修記事によれば、胸焼けの本質は胃液が食道へ逆流し、食道の粘膜を刺激することで生じる灼熱感と定義される。しかし近年の消化器内科の臨床現場では、胃酸の分泌量が正常でも胸焼けを訴える患者が増えていることが注目されている。
その代表格が食道の知覚過敏だ。本来なら無害なレベルのわずかな酸や温度変化に対し、食道の神経が過剰に反応してしまう状態で、ストレスや自律神経の乱れが深く関与する。つまり「胃酸を抑える薬が効かない胸焼け」が存在する理由はここにある。森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの公開情報でも、胸焼けの長期化には内視鏡検査での器質的評価だけでなく、知覚過敏や機能性疾患の可能性を視野に入れる必要性が強調されている。
さらに見逃せないのがピロリ菌との関連だ。ピロリ菌感染による慢性胃炎では胃粘膜の萎縮が進み、逆に胃酸分泌が低下するケースもあるが、除菌後の胃酸分泌回復によって逆流症状が顕在化することも報告されている。「胸焼け=ピロリ菌が直接の原因」とは言い切れないものの、検査で感染状況を把握しておくことは、今後の症状予測において重要な判断材料となる。