アスリートやトレーニーが最も神経をとがらせるのが、筋肉合成や闘争心を司るホルモン「テストステロン」の動向です。巷では「射精するとテストステロンが急激に減少し、筋トレの成果が無駄になる」といった俗説が根強く囁かれていますが、これもホルモン動態の観点から見れば誤解が含まれています。
臨床データが示すのは、性行為や射精の直後にテストステロンが一時的に変動したとしても、数時間から翌日にかけては通常ベースラインへ速やかに復帰するという事実です。一過性の射精によって筋肥大のシグナル伝達が途絶えたり、蓄積された筋タンパク質が分解されたりすることはありません。むしろ長期にわたる過度な禁欲ストレスがコルチゾール(抗ストレスホルモン)の慢性的な上昇を招き、結果として筋分解やコンディション低下を引き起こすリスクさえ指摘されています。