突然の裏切りとも言える形で恋人を失った寺島しのぶの受けた傷は、計り知れないほど深いものでした。しかし、彼女はその絶望を表現者としてのエネルギーへと転換させます。
破局直後の2003年に公開された主演映画『赤目四十八瀧心中未遂』および『ヴァイブレータ』において、寺島は身も心もさらけ出す壮絶な演技を披露。体当たりの濡れ場をも厭わない圧倒的な存在感で、国内外の映画賞を総なめにし、第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞やベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)に輝くなど、名実ともに日本を代表する大女優へと駆け上がりました。
後に発表した著書やエッセイなどの自叙伝的告白本では、当時の引き裂かれるような心情や喪失感、夜も眠れぬほどの激しい葛藤が生々しく綴られています。哀しみを隠すことなく曝け出し、傷だらけになりながらも自らの足で立つ寺島の姿は、多くの女性読者から熱烈な共感と支持を集めました。
その後、寺島は2007年にフランス人アートディレクターのローラン・グナシア氏と結婚。精神的な自由と深い理解を持つパートナーを得て、公私ともに確固たる幸福を手に入れたのです。