松竹株式会社が手掛ける歌舞伎座の舞台で、重厚な衣装を身にまとい大向うを唸らせる日常。そこから一歩外に出た時、彼はどのようにして日常着を選び取るのか。その背景には、幼少期から本物の美に触れてきた審美眼が存在する。伝統芸能の世界で培われた色合わせのセンスや、生地の質感に対する嗅覚は、現代の洋服選びにもダイレクトに反映されている。
歌舞伎業界という厳しいしきたりが存在する世界に身を置きながらも、自身の感性を決して型にはめない。着物に由来するドレープ感や落ち感を洋服のスタイリングに自然と取り入れることで、どこか和の情趣を感じさせる独自のシルエットを作り出している。