商業の世界において、安く仕入れて適正価格で売る行為そのものは商流の基本であり、古くから「せどり」と呼ばれる流通の潤滑油が存在した。古本や中古レコードの目利きが、埋もれた価値を発掘して適正な市場へ戻す作業は、二次流通の健全な機能といえる。
対照的に、転売ヤーのビジネスモデルは「人為的な欠乏」の創出に依存している。限定スニーカーや人気ゲーム機など、供給が需要に追いつかない一次流通のボトルネックを狙い撃ちにし、在庫を根こそぎ吸い上げる。価値を付加するのではなく、アクセス権を人質に取り、法外な身代金を上乗せして消費者に売りつける。この寄生的な構造こそが、一般消費者の激しい怒りを買い、産業界全体から敵視される根本的な理由だ。