彼女の覚悟が最も色濃く結実したのが、映画『ミッシング』だ。自ら「直訴」という形で吉田恵輔監督にアプローチをかけ、何年も熱望し続けて実現したこの主演作。幼い娘が失踪し、狂気と世間の悪意に晒される母親役を演じきった彼女の姿は、多くの観客と批評家の胸を激しく揺さぶった。
吉田恵輔監督が得意とする人間の生々しい感情の機微と、現代社会のリアリティ。これまでの「石原さとみ」というパブリックイメージを粉々に砕くような過酷な現場で、彼女は限界まで己を追い詰めた。髪を市販のシャンプーで傷ませ、ツヤを消して撮影に臨んだエピソードは有名だが、真の凄みはそのビジュアルではなく、瞳の奥に宿る絶望の深さにあった。本格的なヒューマンドラマとして高く評価された本作は、日本映画の歴史に刻まれるべき彼女の代表作となった。