哲学の世界で語られてきた「反出生主義(アンチネイタリズム)」の概念が、ポップカルチャーやSNSを通じて若者の間で身近な言葉として定着して久しい。苦痛に満ちた世界に新たな命を送り出すことの倫理的妥当性を問うこの論理は、自らの生を否定する論理的後ろ盾として消費される側面を見せている。
「生まれない方が幸せだった」という考え方は、自傷的というよりも、むしろ一種の防衛本能として機能している場合がある。生きることへの過度なプレッシャーから逃れるための「論理的な避難場所」として、若者たちがこの哲学的な視点を吸収している現実は極めて示唆的だ。