小野賢章のキャリアを語る上で欠かせないのが、映画『ハリー・ポッター』シリーズにおける主人公ハリー役の日本語吹き替えです。当時わずか12歳(小学6年生)でオーディションに合格した彼は、第1作『賢者の石』から最終章『死の秘宝 PART2』までの約10年間にわたり、主人公ハリーの成長と声変わりの過程をリアルタイムで演じ切りました。劇団四季の舞台子役として培った確かな基礎に加え、多感な思春期の息遣いをそのままマイクに乗せた経験が、声優としての強固なバックボーンとなっています。
吹替界の若き実力派として名を馳せていた彼が、深夜アニメのフィールドで爆発的なブレイクを果たした契機が、2012年放送の『黒子のバスケ』黒子テツヤ役でした。感情の起伏を表に出さない「影の薄い少年」という極めて難度の高いキャラクターに対し、小野は抑制の利いたトーンの中に熱い闘志を宿らせる絶妙なアプローチを展開。原作ファンをも唸らせるシンクロ率を見せ、一気にアニメファン層の間でその名を轟かせました。