彼女の原点を語る上で欠かせないのが、Eテレの長寿番組『きょうの料理』での足跡だ。かつて料理番組といえば、きっちりと計量された調味料と上品な手つきで手順を教えるのが絶対的な作法だった。そこに突如として現れた彼女は、計量スプーンを使わず、フライパン一つで素材の味を引き出す革命的なアプローチを持ち込んだ。
皿の上に直立させたブロッコリーに熱々とろとろのソースを回しかけ、倒れたら「倒れちゃった!」と笑い飛ばす。その瞬間、テレビの前の視聴者は呪縛から解き放たれた。「料理はもっと気楽でいい」「楽しければそれでいい」。完璧主義に疲れていた多くの家庭に、彼女の豪快なレシピは強烈な救いとして届いたのだ。