神田沙也加という不世出の才能を語る上で、母・松田聖子の存在を避けて通ることはできない。昭和のトップアイドルの娘という宿命は、彼女のキャリア初期において重くのしかかり続けた。だが、彼女はその重圧から逃げなかった。映画『アナと雪の女王』の日本語吹替版アナ役で見せた天真爛漫な歌声は日本列島を席巻し、彼女の名前は世界水準の実力派として刻まれた。
さらに、名門・東宝が手掛ける『マイ・フェア・レディ』や『キューティ・ブロンド』などの大作ミュージカルで次々と主演を務め、堂々たるミュージカル女優としての地位を確立。彼女の歌声には、技術を超えた魂の叫びがあった。繊細で傷つきやすく、それでいて劇場の隅々まで届く圧倒的な輝き。その光を間近で見守り、一人の人間としての彼女の孤独を受け止めていたのが村田充という存在だった。