「造営材」という言葉は、主に神社仏閣や宮殿などの公的・宗教的建築物を新築・修繕(造営)するために特別に伐り出され、加工される木材を指す。日常的な戸建て住宅などに使われる一般建材と何が違うのか、その境界線は単なる名称の違いにとどまらない。
一般の木造住宅に用いられる建築材は、樹齢40〜60年程度のスギやヒノキ、あるいは強度や寸法安定性を人工的に高めた集成材が中心となる。これらはコスト効率や施工の標準化、短期間での安定供給を最優先に設計されているのが特徴だ。
対照的に、寺社建築をはじめとする日本建築の造営の経緯をたどると、造営材には「数百年、時には千年以上維持する構造体」としての耐久性が宿命づけられている。そのため、樹齢200〜400年を超える天然の大径木(幹が極めて太い木)から、狂いが少なく腐朽に強い部位だけを厳選して木取りを行う。大量生産される一般建材とは求められる時間軸と品質基準が根本的に異なるのだ。