同店の歴史を語る上で欠かせないキーマンが、創業者の川口喜太郎氏だ。終戦直後の混乱期、わずか3テーブル12席の小さな店からスタートしたこの喫茶店は、彼の妥協なき美学と挑戦心によって日本の珈琲史に大きな足跡を刻むこととなった。
当時、ストレートコーヒーといえばブレンドの材料という認識が一般的だった時代に、川口氏はキリマンジャロやブルーマウンテンといった単一銘柄の魅力をそのまま味わう「ストレートコーヒー」を日本で初めて提供した。自社工場での妥協のない自家焙煎珈琲へのこだわりは、現在も熟練の焙煎士たちに受け継がれており、豆本来の個性と香りを最大限に引き出す手法が磨き続けられている。