一畑電車の名を全国に轟かせたきっかけといえば、やはり2010年に公開された感動の邦画ドラマ映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』の存在を外すことはできない。錦織良成監督が描いた心温まる人間模様と、主演の中井貴一が身を包んだ運転士の制服姿、そしてスクリーンのなかを滑らかに走る日本最古級の電車「デハ50形」の姿は、今なお多くの人々の記憶に深く刻み込まれている。
現在、この名作はNetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスでも楽しむことができるため、事前の予習として作品を観賞してから現地を訪れる旅行者が後を絶たない。ロケ地となった伊野灘駅や雲州平田駅の車庫付近には、映画のワンシーンを彷彿とさせる静けさと詩情がそのまま残されている。映画の主人公が人生の再出発を決意したあのホームに立ち、静かに打ち寄せる湖の波音に耳を澄ませる時間は、他では味わえないノスタルジーに満ちている。