神戸電鉄の湊川駅からわずか数分。神戸の近代芸能と大衆文化を育んできた新開地のすぐ北隣に、福原の街は広がる。明治期の湊川改修に伴って遊郭が移転してきたことに端を発するこのエリア角地には、今なお歴史の重みを感じさせる独特の区画割りや石畳風の舗装が残る。かつての花街としての格式と、戦後の激動期を駆け抜けたエネルギーが地層のように積み重なった場所だ。
だが、現在の街並みはかつてのイメージとは大きく異なる。老舗の風格を漂わせる重厚なエントランスの隣に、デザイナーズホテルのような洗練されたファサードを構える店舗が並ぶ。街全体が老朽化したインフラを刷新し、清潔感とプライバシー保護を前面に打ち出す方向へと舵を切った。猥雑さの中に潜む美学を愛する古参のファンから、スマートな遊びを求める20代の若年層まで、幅広い客層がこの小さなエリアに引き寄せられている。