インターネット上で「深海魚おじさん」と呼ばれ拡散されている魚の正体は、カサゴ目ウラナイカジカ科に属するニュウドウカジカ(学名:Psychrolutes marcidus、英名:Blobfish / ブロブフィッシュ)です。英語の「Blob(ブロッブ)」は「形のない軟らかい塊」や「ぶよぶよした滴」を意味し、その名の通り筋肉組織が極めて乏しく、ゼリー状の柔軟な肉体を持っています。
ニュウドウカジカが主に生息しているのは、オーストラリア南部、タスマニア島沖、ニュージーランド周辺の大陸棚斜面です。生息水深は約600mから1,200mにおよぶ完全な深海域であり、太陽光が一切届かない漆黒の闇と、水温数度という極寒、そして地上の約60倍〜120倍もの凄まじい水圧がかかる極限環境に身を潜めています。
現地海洋調査機関やトロール漁の記録によると、体長はおよそ30cm前後にまで成長します。普段は海底の泥や岩礁の上にじっと静止しており、エネルギー消費を極限まで抑えながら、目の前を通りかかる甲殻類(カニやエビ)や軟体動物、有機物の残骸などを大きな口で吸い込むようにして捕食するアンブッシュ型(待ち伏せ型)の生態を持っています。