1986年、『トップガン』のピート・“マーヴェリック”・ミッチェルが映画館のスクリーンに現れたとき、世界中の空気が塗り替わった。日本もその例外ではない。
フライトジャケット「MA-1」と「G-1」、アビエイターサングラス、そしてカワサキ・Ninja。渋谷や原宿の街角には、彼を真似たスタイルで肩で風を切る若者が溢れかえった。米海軍のパイロット志願者が激増したという現象は、もはや映画のヒットという枠組を完全に越えていた。
あの映画のトムが放っていたのは、無敵のポジティビティだ。傷つき、相棒を失いながらも、圧倒的なスピードの中で自らの存在を証明する。まばゆいカリフォルニアの太陽光線の下で見せた、白い歯が輝くあの笑顔。80年代アメリカの自信と陶酔を、彼はたった一人で体現していた。