精神性の消費が軽やかになる一方で、物理的な祈りのインフラは崩壊の危機に瀕している。全国に約8万社ある神社を束ねる神社本庁、そして約7万7000の伝統仏教寺院が加盟する全日本仏教会は、いずれも過疎化と少子高齢化の直撃を受けている。
地方の集落では、神主が常駐しない「兼務社」が激増し、社殿の雨漏りすら修繕できない神社が放置されている。寺院においても、葬儀の簡素化や「直葬」の普及、さらには先祖代々の墓を処分する「墓じまい」が加速。寺院の経済基盤である檀家制度は音を立てて崩れつつある。後継者不在による廃寺・廃社の増加は、地域の歴史的景観だけでなく、災害時のコミュニティ拠点や祭礼文化の消滅をも意味している。