2026年、外食産業を直撃しているのは止まらない原材料費の高騰だ。食用油、小麦粉、そして天ぷらの命である海老や穴子などの水産物価格は軒並み跳ね上がり、多くの飲食店が大幅な値上げや省力化を余儀なくされている。そんな苛烈な環境下においても、旧いもやの系譜を引く店々は、驚くべき価格設定と圧倒的なボリュームを維持しようと格闘を続けている。
「お客様に満足して店を出てほしい、ただそれだけです」。ある後継店の店主は早朝の市場でそう語った。少しでも質の良い食材を安く仕入れるため、卸業者との長年の信頼関係を頼りに毎朝足繁く通う。利益率を削ってでも満足感にこだわる姿勢は、現代の合理主義から見れば無謀に映るかもしれない。だが、それこそが客を惹きつけて離さない熱量の源泉なのだ。