インターネット上のグルメサイトやSNS、コミュニティ掲示板で天ぷらいもや口コミ評判を分析すると、単に「安くて美味しい」という料理の評価にとどまらない、極めて情緒的で熱量の高い体験談が無数に寄せられています。
当時の常連たちが口を揃えるのは、独特の心地よい緊張感です。「スマホを見ながらダラダラ食べる客はおらず、揚げる職人の手元を静かに見つめる空間」「職人が『はい、いらっしゃい』と短く声をかけ、客も『定食ひとつ』と簡潔に応じるリズムの美しさ」。これらは、外食産業がエンターテインメント化・カジュアル化する中で失われつつある、昭和の職人割烹の清々しい礼儀作法でした。
また、味の面で多くのファンを虜にしたのが、天ぷらのタネと油の絶妙なバランスです。高級江戸前天ぷらのような薄衣ではなく、程よい厚みを持たせた衣は、胡麻油のコクをしっかりと抱き込み、濃い口の天つゆに浸してもサクサクとした力強い食感を失いませんでした。特に「いもやえび定食」で提供された海老は、プリッとした身の弾力と香ばしい衣が丼飯を強烈に進ませる逸品であり、学生たちの特別なご馳走でした。
現場観察を重ねてきた食文化研究者も「いもやの本質は、過度な接客サービスを削ぎ落とし、清潔さとスピード、そして熱々の料理に全エネルギーを注ぎ込んだ点にある」と指摘しています。白木の一枚板が油でべたつくことなく、毎日の手入れで真っ白に保たれていたことこそ、いもやの誇りを雄弁に物語る証拠でした。