戦後復興を指揮した建築家・丹下健三は、焦土と化した広島の都市計画において大胆な空間軸を設計した。平和記念公園の中央を南北に貫く直線――慰霊碑のアーチ越しに原爆ドームを望み、その背後に広島平和記念資料館を配する配置は、祈りと記憶を不可分に結びつける都市装置である。
資料館に展示された犠牲者の遺品、熱線で溶けたガラス瓶、焦土を彷徨う人々の生々しい絵画。それらを目撃した鑑賞者が館外へ出た瞬間、視線の先には川向こうのドームが立ち現れる。丹下が仕掛けたこのランドスケープは、鑑賞者の意識を「過去の惨劇の目撃」から「現代に遺された遺構との対話」へとシームレスに導く。建築が都市の記憶をいかに媒介できるかという極めて高度な実践がここにある。