こうした意識の変化は、マーケットの現場にも巨大なうねりを生み出している。宝飾品産業はいま、「誰かに贈られるジュエリー」から「自分で自分に贈るジュエリー」への構造シフトの真っ只中にある。
かつてブライダルリングの代名詞であったティファニーなどのトップジュエリーブランドも、近年は独身層に向けた「セルフラブ・ジュエリー」やデイリー使いのコレクションを力強く推進している。自分の記念日やキャリアの節目に、自分の力で購入する高級リング。それをどの指につけるかは、もはや個人の自由な裁量に委ねられている。
「結婚のための指輪」から「自己肯定を高めるための宝飾品」へ。業界全体のブランディング戦略が変化したことで、左手薬指という特定のポジションに対する重圧は、確実に下がり続けている。