経営危機に陥ったシャープは、2012年に亀山第1工場の生産ラインを大型テレビ向けから米アップルのiPhone向け中小型液晶へと大幅に転換。一時的な延命を図ったものの、単一顧客への依存度の高さとパネル価格の継続的な下落により財務状況は悪化の一途を辿りました。そして2016年、台湾の鴻海精密工業買収の経緯を経て、同社は外資系企業の傘下で再建を目指すことになります。
鴻海流の徹底したコスト管理とグローバル調達力により一度はV字回復を見せたものの、大型液晶事業の構造的不況は根本的に解決していませんでした。特に子会社化した堺工場が抱える赤字は巨額で、連結業績を激しく揺るがし続けました。
この事態を打開するため、シャープ経営陣は2026年、シャープ液晶パネル撤退理由の総決算として堺工場における大型液晶パネルの生産完全停止を断行。2026年8月をもって日本国内におけるテレビ向け大型液晶パネルの生産は完全に幕を下ろしました。同時に堺拠点はソフトバンクやKDDIなどと連携し、AIデータセンターへと転換される方針が決定されました。
このシャープ堺工場停止の影響を受け、世間では「シャープの液晶工場=すべて閉鎖」という認識が広まりましたが、テレビ用大型パネルを担っていた堺と、中小型パネル・車載ディスプレイを担う亀山では事業構造が明確に異なります。亀山工場はテレビ用液晶パネルの撤退という大きな歴史の転換点を経て、中小型高精細パネルおよび新規エレクトロニクス領域へと役割を絞り込むこととなりました。