1970年代初頭、日本のマンガ史に決定的な地殻変動が起きた。昭和24年前後に生まれた新進気鋭の女性作家たち、いわゆる「24年組」の登場である。同時代を駆け抜けた竹宮惠子らと共に、彼女たちは東京・大泉のアパートで議論を重ね、表現の限界を広げるための切磋琢磨を繰り広げた。それまでの少女漫画が抱えていた記号的な可愛らしさや平面的展開から抜け出し、人間の内面に潜む愛憎、孤独、そして禁忌に踏み込んだコマ割りは、読者に強烈な視覚的ショックを与えた。
特に小学館から刊行されていた『別冊少女コミック』は、彼女たちの実験的な意欲作を世に送り出す最高の舞台となった。単なる日常の恋愛模様にとどまらず、心理学や哲学的なテーマを緻密なストーリーテリングで描く手法は、当時の漫画出版業界全体に計り知れないインパクトを及ぼした。少年誌や大人向け誌に匹敵する、あるいはそれを超える精神的深みを少女誌にもたらした快挙は、現在も語り継がれている。