「山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう」という言葉は、人間の尽きることのない憧れと、それに伴う哀しい宿命を端的に象徴しています。遠くを見つめ、未知の地平に希望を見出すこと自体は、人類が進歩するための原動力でもありました。しかし、その視線が行き過ぎて「足元にある確かな温もり」をないがしろにしたとき、待っているのは冷たい涙と挫折です。
山の向こうに完璧な楽園を求める旅を一度止めて、自分が今立っている場所を見つめ直してみること。他人の噂やSNSのタイムラインが煽る「ここではないどこかの幸せ」に惑わされず、手の中にある小さな日常を慈しむこと――120年以上前にカール・ブッセが紡ぎ、上田敏が命を吹き込んだ名詩は、喧騒の中に生きる私たちに対して、今も静かで力強い羅針盤を示し続けています。 (出典: 山 の あなた の 空 遠く(Yahoo!ニュース))
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