看板を出さない路地裏の隠れ家から、毎夜常連で満席になるカウンターまで、現地を歩き倒して見えてきたのは各店の強烈な個性だ。席数わずか8席、数ヶ月先まで席が埋まる完全予約制の店では、店主が目の前で丸鶏から捌く様子を眺めながら、極上のコースを堪能できる。ソリレスやハラミといった一羽から極わずかしか取れない希少部位のポーションは惜しみなく、噛み締めた瞬間に溢れ出る旨味の純度に言葉を失う。
一方で、日常使いに嬉しいコストパフォーマンスの高さを誇る実力派も健在だ。鮮度抜群の朝引き鶏を熟練の技で焼き上げながら、良心的な価格で地酒とともに提供する。ポーションの大きさ、タレのキレ、そして何より店主の温かいもてなし。決して背伸びをさせず、それでいて満足度は圧倒的。予約困難な高級店と、飾らない実力派の双方が高い次元で競い合っているからこそ、この街の食べ歩きは面白い。