砂肝を調理する際、多くの人が直面するのが「青白い膜(銀皮)をすべて削ぎ落とすべきか」という疑問です。調理専門学校の指導やクラシックな和食の技法では「銀皮は固いため削ぎ落とす」と教えられますが、居酒屋風のワイルドな噛みごたえと旨味を求める場合、必ずしも全カットが正解とは限りません。
仕上がりの好みに応じて、以下の2通りの下処理を使い分けるのがプロの現場におけるスタンダードです。
① 居酒屋風の野性味あるコリコリ感を楽しむ場合(銀皮を残す技法)
砂肝の中央にある結合部(白い筋)を切り離して2つの山に分けた後、銀皮がついている面に2〜3ミリ間隔で深さ半分程度の切り込み(格子状または平行スリット)を細かく入れます。こうすることで筋繊維が適度に分断され、固さを感じさせずに心地よい弾力だけを残すことができます。また、このスリットが油はねを完璧に防止する安全弁としても機能します。
② 専門店の上品でサクッと柔らかな食感を目指す場合(銀皮を取り除く技法)
砂肝を2つに切り分けた後、平らな銀皮を下にしてまな板に置き、包丁を寝かせて皮と肉の間に刃を滑り込ませるようにして薄く削ぎ落とします。削ぎ落とした銀皮は捨てずに、細かく刻んでネギポン酢和えやスープの出汁に活用すれば無駄がありません。
さらに、下処理の最後には「水洗いした後に料理酒を大さじ1揉み込み、ペーパーで水気を完全に吸い取る」というひと手間を加えます。これにより、内臓肉特有の微小な血生臭さが完全にリセットされ、下味が劇的に染み込みやすくなります。