アシカ科最大種であるトドは、英語で「Steller Sea Lion(ステラー・シーライオン)」と呼ばれ、まさに海における百獣の王の風格を備えています。雄の咆哮は「グオオオ」と地響きのように重く響き渡り、繁殖期の岩場では数頭の雌を囲む「ハーレム」を形成してライバルを激しく威嚇します。
日本との関わりも深く、毎年冬になるとロシア・サハリンや千島列島方面から冷たい親潮に乗って北海道沿岸(日本海側やオホーツク海側)へ多数の野生トドが越冬回遊してきます。積丹半島や小樽、知床の沿岸では、岩礁に集まる野生のトド群が冬の風物詩として観察されます。
しかし、体重1トン近いトドの旺盛な食欲とパワーは、刺し網を破って高級魚のサケやスケトウダラを食い荒らす「漁業被害」を引き起こしてきた歴史があります。かつては徹底的な駆除対象とされていましたが、生息数の変動モニタリングが進んだ現在は、保護と漁業被害防止のバランスを取る持続可能な管理計画が環境省および水産庁主導で運用されています。