本作にまつわる代表的な誤解の一つに、「この曲は昭和の古い流行歌のカバー曲である」という思い込みがあります。あまりに完璧なキャバレー歌謡の意匠を纏っているため、若い世代のリスナーを中心に「昭和40年代の楽曲のリバイバル」と勘違いされるケースが後を絶ちません。
しかし前述の通り、本作は2000年に作られた完全なオリジナル楽曲です。昭和歌謡の形式美をコピーしたのではなく、ヒップホップやオルタナティブ・ロックを通過した1990年代後半の若手ミュージシャンが、自らのフィルターを通して再構築した「ネオ・昭和歌謡」のパイオニアでした。
また、「ブルース」というタイトルが付けられているものの、厳密な12小節のブルース進行(スリーコード進行)ではありません。ジャズのコードボキャブラリーと歌謡曲の情緒を結合させた「心象風景としてのブルース」として命名された点も、音楽ファンなら押さえておきたい重要ポイントです。