老齢厚生年金を繰り上げる際、多くの人が気づかない重大なデメリットがある。それは、繰り上げ受給を選択すると、その後、病気やケガで障害状態になっても「障害厚生年金」を請求できなくなる可能性が高いという点だ。老齢厚生年金の受給権が発生すると、原則として障害厚生年金は支給されない仕組みになっている。60歳で繰り上げ受給を始めた直後に重い障害を負った場合、本来なら受け取れたはずの障害厚生年金というセーフティネットを自ら手放していたことになる。
また、遺族年金についても注意が必要だ。繰り上げ受給をしていても、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給資格に直接的な影響はないが、老齢厚生年金を繰り上げていると、遺族厚生年金との調整で受け取れる額が変わるケースがある。配偶者の死亡時に自分が繰り上げ受給中だと、遺族厚生年金と老齢厚生年金のどちらかを選択しなければならない場面も出てくる。このあたりは、日本年金機構の窓口でも個別事情によって説明が異なるため、事前に「ねんきんネット」で自分の年金記録を確認し、シミュレーションしておくことが不可欠だ。