スナイダーの教えは、プロットの組み立てだけにとどまりません。企画が映画スタジオの重役や編集者に一瞬で伝わるかどうかを左右する「ログラインの作り方」において、彼は4つの要素を必須と定めました。
それは、①皮肉(アイロニー)、②頭に浮かぶ強烈なビジュアル、③ターゲット層と製作費のスケール感、④キャッチーで示唆に富むタイトルの4点です。「嘘つきの弁護士が、息子の誕生日の願い事のせいで24時間嘘をつけなくなる」(『ライアー ライアー』)のように、1文聞いただけで葛藤とドタバタが脳裏に浮かぶ状態こそが理想のログラインとされます。
さらに革新的だったのが、従来の「ホラー」「SF」「コメディ」といった映画ジャンルを解体し、物語の構造的葛藤によって再定義したSAVE THE CAT 10のジャンルです。
たとえば『ジョーズ』も『エイリアン』も『ジュラシック・パーク』も、閉鎖空間で犯した罪によって怪物が襲い来る「家の中のモンスター(Monster in the House)」に分類されます。また、何かを求めて旅に出て最終的に自己を見出す『ロード・オブ・ザ・リング』や『オーシャンズ11』は「金の羊毛(Golden Fleece)」です。ジャンルの本質を理解することで、創作者は「この物語で観客が本当に味わいたい感情は何なのか」を見失わずにプロットを練り上げることができます。