インターネット上の掲示板やTikTokのコメント欄で今なお根強く囁かれているのが、「ジャケット写真の女の子は、石原慎也の元カノ本人なのではないか」という噂です。ファンならずとも気になるこの憶測ですが、結論から言うと完全な事実誤認であり、元カノ本人がメディアに顔を出した事実は一度もありません。
ではなぜ、これほどまでに信憑性を帯びた都市伝説として定着してしまったのでしょうか。その背景には、石原慎也というソングライターが持つ特異な執筆スタイルが存在します。
石原はかねてより、公式ファンクラブや音楽メディア各社のインタビューにおいて、自身の楽曲の多くが「実体験そのもの」であることを包み隠さず告白してきました。代表曲「いつか」をはじめ、「コンタクトケース」などの初期楽曲は、かつて本気で愛しながらも別れを選ばざるを得なかった特定の女性に向けた赤裸々な手紙そのものです。歌詞に登場する些細な口癖、部屋に残された私物、季節の匂いに至るまで、すべてが生々しいドキュメンタリーとして紡がれています。
この「嘘のない私小説性」に深く胸を打たれたリスナーの心理が、視覚情報であるジャケット写真と無意識に結びつきました。「これほどリアルな感情を歌っているのだから、ジャケットに写るこの切ない表情の女性も、彼が愛したあの人なのではないか」という純粋な思い込みがSNS上で拡散され、いつしか「元カノ起用説」として独り歩きしてしまったのが真相です。