Saucy Dogの楽曲群の多くは、作詞を手掛ける石原慎也の実体験が色濃く反映されていることで知られています。中でも『コンタクトケース』の歌詞に込められた意味は、彼が過去に経験した「元カノとの同棲生活の終わり」という決定的な事実に基づいています。
当時のインタビューやライブMCにおいて石原自身が語った証言によると、かつて生活を共にしていた恋人が部屋を出て行った際、洗面所にぽつんと取り残されていたのが彼女のコンタクトレンズのケースでした。持っていくのを忘れたのか、それとも不要だから捨て置かれたのか――その小さなプラスチック容器ひとつが、二度と戻らない日々の象徴として青年の胸を刺したのです。
二人が別れに至った理由について、劇的な裏切りや決定的な大喧嘩があったわけではありません。日々の生活の中で少しずつ積み重なった甘えや、相手の存在を「当たり前」と感じてしまった配慮の欠如が、決定的な亀裂を生んだと石原は述懐しています。失って初めて相手が背負ってくれていたものの大きさに気づくという、痛恨の後悔がこの楽曲の原動力となっています。