佐藤江梨子という名前を聞いて、イエローキャブ全盛期を思い起こす人は少なくないはずだ。圧倒的なプロポーションを武器にトップクラスのグラビアアイドルとして君臨した彼女は、当時のバラエティ番組でも物怖じしない軽快なトークを繰り広げ、お茶の間の人気者となった。
しかし、彼女の真骨頂はそこにとどまらなかった。2004年の映画『キューティーハニー』で庵野秀明監督に抜擢されると、コミカルでありながら身体能力の高さを活かしたアクションを披露。世間の単なるアイドル的イメージを鮮やかに裏切ってみせた。
決定打となったのは、2007年に公開された吉田大八監督の日本映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』だ。エゴイスティックで痛々しく、それでもどこか哀愁を漂わせる主人公・澄子を怪演。キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞候補に名を連ねるなど、映画界の重鎮や批評家たちを唸らせた。グラビア出身というレッテルを実力で剥ぎ取った瞬間だった。