1980年代から2000年代にかけて、日本の芸能界におけるテレビドラマ文化の中心には、間違いなく2時間サスペンスが存在していた。その黄金期において、確固たる地位を築いたのが女優・眞野あずさである。
彼女の代名詞となったのが、日本テレビ放送網が誇る『火曜サスペンス劇場』で長年主役を務めた『弁護士 高林鮎子』シリーズだ。緻密なアリバイトリックを解き明かす冷静沈着な弁護士・鮎子と、助手の竹森幸平(橋爪功)との軽妙な掛け合いは、国民的な人気を博した。全国各地のローカル鉄道や旅情を織り交ぜた名作として、シリーズは実に34作を数える。
さらに彼女は、テレビ朝日系の『土曜ワイド劇場』でも『検事・朝日奈耀子』シリーズで主演を務め、医師免許を持つ異色の検事役を熱演。巨悪に立ち向かう鋭さと被害者に寄り添う温かさを併せ持つキャラクター像を確立した。異なる局の看板枠で、それぞれ15年以上にわたり主演シリーズを牽引し続けた女優は、歴史を振り返っても極めて稀である。