桑田佳祐の青春時代を語る上で欠かせないのが、キーボーディストであり生涯のパートナーとなった原由子との馴れ初めです。
横浜の老舗天ぷら屋「天吉」の長女として育った原由子は、青山学院大学に入学後、同サークルでエリック・クラプトンの名曲をピアノで見事に弾きこなしていました。その卓越した鍵盤テクニックと音楽的センスを目の当たりにした桑田佳祐が「うちのバンドで弾いてほしい」と熱烈にアプローチしたことが、二人の出会いでした。
当初は純粋なバンド仲間・音楽的同志としての関係でしたが、スタジオ練習やセッションを重ねる中で次第に距離が縮まっていきます。桑田佳祐は原由子のピアノ演奏と柔らかなコーラスワークを深く信頼し、原由子もまた、桑田が紡ぎ出す斬新なコード進行とメロディの才能に誰よりも早く気づいていました。
プロデビュー後、怒涛のスケジュールと世間のバッシングに晒され精神的に追い詰められていた時期も、二人は支え合い続けました。交際期間を経て、1982年2月に東京プリンスホテルで結婚式を挙げ、披露宴には数多くのファンと音楽関係者が詰めかけました。互いの才能を認め合い、対等な音楽家としてリスペクトし合う関係性は、半世紀近く経った現在でも理想の夫婦像として語り継がれています。