三菱グループの精神的支柱であり、最高意思決定機関とされる「三菱金曜会」の中心に座るのが、三菱重工業・三菱商事・三菱UFJ銀行のいわゆる「御三家」です。かつては重厚長大産業の雄である三菱重工がグループの「長男」として君臨していましたが、平成から令和にかけての経済構造の変化に伴い、年収面および実質的なグループ序列には明確な変化が生じました。
最も顕著なのが給与格差です。三菱商事の平均年収が2,000万円を超え、総合商社の年収(2026年最新)でも首位争いを繰り広げる一方、三菱重工業の年収推移は過去10年間にわたり700万円台から800万円台後半で推移してきました。近年でこそ防衛費増額やエネルギー転換需要を背景に900万円台へ回復を見せていますが、商事との間には依然として2倍以上の隔たりが存在します。
一方、金融再編を牽引してきた三菱UFJ銀行は、初任給の引き上げを積極的に進めています。三菱UFJ銀行の初任給は総合職で月額30万円の大台を突破し、メガバンク間の人材獲得競争を主導する形となりました。伝統的な年功序列から脱却し、若手優秀層に早期から高い報酬を支払う人事制度改革が進んだことで、30代前半での年収1,000万円到達スピードは重工を上回るペースとなっています。
「金曜会での発言力は今でも重工が重きをなす場面があるが、グループ全体の資金供給や新規事業投資の主導権は完全に商事と銀行へシフトしている」と、グループ系シンクタンク関係者は語ります。名誉の重工、実利の商事、資金の銀行という力関係が、そのまま給与水準のグラデーションとなって現れています。