タイポグラフィの厳密な制約を軽やかに飛び越えたのが、インターネット発の文学とソーシャルメディアの文化だ。「小説家になろう」に代表されるWeb小説のプラットフォームでは、三点リーダーは単なる記号を超え、キャラクターの内面や間合いを表現する極めて重要な演出装置として進化した。
Web小説の読者は、スマートフォンの画面を指先で弾くように読み進める。そこでは、「……」を複数連続させて重厚な間を表現する手法や、あえて台詞の末尾に「…っ!」と配置して息を呑む瞬間を演出する技法が日常的に用いられている。出版社の編集部も、Web発のヒット作を書籍化する際には、従来の紙のルールを杓子定規に当てはめるのではなく、Webならではのグルーヴ感を損なわない調整を行っている。
一方で、ビジネスチャットやSNSにおける「…」の多用は、受け手に「不満があるのではないか」「煮え切らない態度だ」というネガティブなニュアンス(いわゆる“マルハラ”に類する心理的圧力)を与えるリスクがある。コンテキストによって記号の持つ体温が激変する点には注意が必要だ。