三大財閥を理解する上で欠かせないのが、古くから語り継がれる「組織の三菱」「人の三井」「結束の住友」という社風の違いです。この性格付けは単なる比喩にとどまらず、各グループの事業戦略や意思決定のスピード感に色濃く反映されています。
三菱グループの特徴は、強固なヒエラルキーと官僚的とも称される組織力にあります。明治維新期に岩崎弥太郎が創業し、海運業から国家プロジェクトと連動して重工業分野へ進出した歴史を持つため、国家観を持った骨太なプロジェクトに強みを発揮します。トップダウン型の結束と規律の正しさが最大の武器です。
対照的に三井グループの特徴は、個人の独創性や進取の気性を尊ぶ「人の三井」の精神です。江戸時代の越後屋(呉服店・両替商)から始まった歴史を持ち、商業やサービス業、金融を祖業とするため、自由闊達で柔軟なビジネス展開を得意とします。個々の社員の裁量が大きく、新規事業やグローバル展開において先陣を切るケースが目立ちます。
そして住友グループの結束力は三者の中でも際立っています。別子銅山の開拓から発展した住友は、「浮利を追わず」という厳格な住友家法を基礎に持ちます。手堅い実業主義を貫き、製造業や金属・化学などの素材産業で強固なポジションを築いてきました。グループ内の連携意識が非常に高く、困難な局面でも一致団結して乗り切る強靭な結束力を誇ります。