「社長会」と聞くと、戦前の持株会社のようにグループ全体を裏から操る秘密会議をイメージする人も少なくありません。しかし、独占禁止法が厳格に運用される現在、社長会に法的拘束力や経営支配権は一切存在しません。各社役員の証言や取材データによると、その実態は「トップ同士の情報交換と親睦、ブランド価値の保全」を主目的とした懇談会です。
三菱金曜会:強固な鉄の結束と「丸の内」の防衛線
三菱グループの金曜会は、毎月第2金曜日に三菱商事ビルや三菱重工ビル等に主要26社のトップが集まり開催されます。三菱自動車の経営危機時や、三菱重工業の大型客船事業の損失処理など、グループ有事の際に見せる結束力の強さは他グループを圧倒します。「三菱の看板を汚さない」という強固な自負があり、東京・丸の内のオフィス街に中核企業が密集している点も求心力を高めています。
三井二木会:個の裁量を重んじる開放的ネットワーク
毎月第2木曜日に開催される二木会は、三井グループの経営者が集う場です。「人の三井」と称される通り、三井は創業期から優秀な番頭(経営幹部)に大きな裁量権を与えてきた歴史を持ちます。そのため、三菱に比べてグループ統制は緩やかであり、各社が独自に他社とのアライアンスを組むことに対しても極めて寛容です。三井物産や三井不動産が業界の常識を覆すディールを成功させてきた背景には、この風通しの良さがあります。
住友白水会:家訓「浮利を追わず」を体現する少数精鋭
住友グループの白水会は、直系の有力19社のみで構成される極めて結束の固い社長会です。住友のルーツである「泉屋」の精神を受け継ぎ、住友家法に記された「浮利を追わず(目先の不当な利益に目を奪われない)」という堅実な理念が徹底されています。製造・素材系企業が多く、派手な買収劇よりも本業の技術力磨きやニッチトップ戦略を得意とする傾向が顕著です。