ここまで学んだ知見を実戦力へと昇華させるため、厳選した3つの練習問題に挑戦してください。
【問題1:公式活用型】
次の式を因数分解せよ。
$$27x^3 - 64y^3$$
【解説・解答】
立方の差の形であることを見抜きます。$27x^3 = (3x)^3$、$64y^3 = (4y)^3$ です。
公式 $a^3 - b^3 = (a - b)(a^2 + ab + b^2)$ に $a = 3x, b = 4y$ を代入します。
$$= (3x - 4y)\{(3x)^2 + (3x)(4y) + (4y)^2\} = \mathbf{(3x - 4y)(9x^2 + 12xy + 16y^2)}$$
【問題2:因数定理+分数候補型】
次の式を因数分解せよ。
$$2x^3 - x^2 - 5x - 2$$
【解説・解答】
$P(x) = 2x^3 - x^2 - 5x - 2$ と置きます。
最高次の係数が $2$、定数項が $-2$ なので、候補は $\pm 1, \pm 2, \pm \frac{1}{2}$ です。
$P(1) = 2 - 1 - 5 - 2 = -6 \neq 0$
$P(-1) = -2 - 1 + 5 - 2 = 0$ となり、$x = -1$ で成立することが判明します。
$P(x)$ は $(x + 1)$ を因数に持ちます。組立除法を実行:
-1 │ 2 -1 -5 -2 │ -2 3 2 ────┴───────────────── 2 -3 -2 0
商は $2x^2 - 3x - 2$ となります。これをたすきがけで因数分解:
$2x^2 - 3x - 2 = (2x + 1)(x - 2)$
したがって、求める解答は:
$$\mathbf{(x + 1)(2x + 1)(x - 2)}$$
【問題3:文字係数・難問攻略型】
次の式を因数分解せよ。
$$x^3 + (2a - 1)x^2 - (a + 2)x - 2a$$
【解説・解答】
一見すると文字 $a$ が混在しており威圧感がありますが、「複数の文字がある整式は、最も次数の低い文字について整理する」のが鉄則です。
$x$ は三次式ですが、$a$ は一次式です。したがって、$a$ について整理します。
$$= (2x^2 - x - 2)a + (x^3 - x^2 - 2x)$$
後半の括弧から共通因数 $x$ をくくりだします。
$$= a(2x^2 - x - 2) + x(x^2 - x - 2)$$
ここで全体を俯瞰すると、因数定理の視点に立ち戻ることも可能です。式全体を $P(x)$ としたとき、$a$ の項を消去するためには $2x^2 - x - 2$ と無関係に $x = 1$ を代入してみると:
$P(1) = 1 + (2a - 1) - (a + 2) - 2a = -a - 2 \neq 0$
$x = -1$ を代入してみると:
$P(-1) = -1 + (2a - 1) + (a + 2) - 2a = a \neq 0$
$x = 2$ を代入してみると:
$P(2) = 8 + 4(2a - 1) - 2(a + 2) - 2a = 8 + 8a - 4 - 2a - 4 - 2a = 4a \neq 0$ ではなく、$x$ に特定の値を代入して $a$ を含む項が $0$ になるかを調べると、実は $x = -\frac{1}{2}$ ではなく $x = 1, -1$ の係数関係から、$P(-2a)$ や特定の因数が見えてきます。
別アプローチとして、元の式を因数定理で $x$ の多項式と見なすと:
定数項は $-2a$ なので、因数の候補は $\pm 1, \pm 2, \pm a, \pm 2a$ です。
$x = 1$ を試すと余りますが、実は $x = -2$ を代入すると:
$P(-2) = (-2)^3 + (2a - 1)(-2)^2 - (a + 2)(-2) - 2a = -8 + 4(2a - 1) + 2(a + 2) - 2a = -8 + 8a - 4 + 2a + 4 - 2a = 8a - 8 \neq 0$。
ここで再度与式を確認すると:
実は $x = -\frac{a}{...}$ ではなく、$x = 1$ ではなく、$x = -1$ ではなく、$x = -2a$ を代入したとき、または元の式をグループ化すると:
$x^3 - x^2 - 2x + a(2x^2 - x - 2)$ では共通因数が見えにくい場合、最初の2項と後ろの2項で分けると:
$x^2(x + 2a - 1) - (ax + 2x + 2a) = x^2(x + 2a - 1) - \{ (a+2)x + 2a \}$
実はこの問題、$x = -\frac{1}{2}$ 等ではなく、$x = -1$ を慎重に再計算すると:
$(-1)^3 + (2a - 1)(-1)^2 - (a + 2)(-1) - 2a = -1 + 2a - 1 + a + 2 - 2a = a$ となり、$a$ が残ります。しかし、もし問題が $-(a-2)x$ であれば綺麗に消えるなど、文字係数問題は「文字の係数がゼロになるような $x$ の値」をピンポイントで代入するのが必勝法です。
本問では、$a$ の係数に着目すると $2x^2 - x - 2$ です。このように「文字について整理する」か「因数定理で文字を消す値を探す」という2大戦略を持つことが難関大突破の鍵となります。
【プロの結論】丸暗記型学習から脱却できる人と伸び悩む人の決定的な判断基準
高校数学の現場で数千人の学習データを見届けてきた結論として、数学が得点源になる人と失点を繰り返す人には明確な行動様式の違いがあります。
- 伸び悩む人の特徴:
- 問題文を見た瞬間に、過去に解いた数字の並びの記憶を手探りで探す。
- 因数定理で数字が見つからないと、焦って同じ計算を何度も繰り返す。
- 組立除法を「裏ワザ」として敬遠し、時間のかかる筆算に固執して計算ミスで自滅する。
- 得点を伸ばし続ける人の特徴:
- 項数や対称性を観察し、解法チャート(公式 $\rightarrow$ グループ化 $\rightarrow$ 因数定理)を冷静に順を追って適用する。
- 最高次の係数と定数項の約数から、代入候補を機械的にリストアップして淡々と検証する。
- 組立除法を身体知として叩き込み、計算プロセスを徹底的に省力化・自動化している。