この巨大な奔流の源流をたどるなら、水樹奈々の存在を抜きには語れない。声優として史上初めて東京ドーム公演を成功させ、NHK紅白歌合戦の常連へと登りつめた彼女の足跡は、アニメソングをサブカルチャーから日本を代表するメジャー音楽ジャンルへと引き上げた。
声優が自らの名義でアリーナを埋める――かつて無謀と笑われたその夢を水樹奈々が現実のものとしたことで、後続の世代にはまったく新しい地平が開かれた。その系譜を受け継ぎ、声優としての卓越した表現力と、ステージ上での鮮烈なポップアイコン性を高次元で両立させたのが内田真礼だ。エッジの効いたロックサウンドからキュートなポップスまでを乗りこなし、パーソナルな感情を音楽に叩き込む彼女のスタイルは、単なるキャラクターの延長ではない「一人のアーティストとしての声優」の輪郭を決定づけた。
彼女たちが切り拓いた道は、単に歌って踊れる声優を生んだだけではない。芝居で培った声の表現力をマイクに乗せ、歌詞の一節一節に物語を宿らせる独自の歌唱スタイルを確立したのである。