一般的なカラスと異なり、絵図や彫刻に描かれる八咫烏には明確に「三本の足」が存在する。この不気味とも神々しいとも言える独特の造形は、どこから生まれたのだろうか。
神道や陰陽道の解釈において、三本の足はそれぞれ「天(天神地祇)」「地(自然環境)」「人(人類)」を表すとされる。これらが一つの体に集約されることで、宇宙の調和と万物の循環を象徴しているという説だ。また、数字の「三」は古代から太陽や生殖力、再生を象徴する聖なる数として重宝されてきた。中国の古代思想『淮南子』などにも「太陽の中に三足烏が住む」という記述が見られ、ユーラシア大陸全域に広がっていた太陽信仰の奔流が日本列島へと漂着し、独自の神道説話と融合した結果がこの姿なのだろう。